ユニケミーについて TOP

金属アーク溶接等作業について 健康障害防止措置が義務付けられます

厚生労働省では、「溶接ヒューム」について、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則(特化則)等を改正し、新たな告示を制定しました。

改正政省令・告示は、令和3年4月1日から施行・適用します。

特定化学物質としての規制

一. 全体換気装置による換気等(特化則第38条の21第1項)

・金属アーク溶接等作業に関する溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施
またはこれと同等以上の措置を講じる必要があります。※「同等以上の措置」には、プッシュプル型換気装置、局所排気装置が含まれます。

二. 溶接ヒュームの測定、その結果に基づく呼吸用保護具の使用及びフィットテストの実施等(特化則第38条の21第2項~第8項)

・「金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場」の場合は、以下の措置を講じることが必要です。

必要な措置の流れ(図1参照)

図1 必要な措置の流れ

1  溶接ヒュームの濃度の測定(特化則第38条の21第2項、測定等告示第1条)

 試料空気の採取は、金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる方法により行います。
試料採取機器の採取口は、労働者の呼吸する空気中の溶接ヒューム濃度を測定するために最も適切な部位(呼吸域)に装着する必要があります。その際、採取口が溶接用の面体の内側となるように留意します。
 試料空気採取の対象者、時間は以下のとおりです。

・試料採取機器の装着は、労働者にばく露される溶接ヒュームの量がほぼ均一であると見込まれる作業(以下「均等ばく露作業」ごとに、それぞれ、適切な数(2人以上に限る)の労働者に対して行います。均等ばく露作業に従事する一の労働者に対して、必要最小限の間隔をおいた2以上の作業日において試料採取機器を装着する方法により採取が行われたときは、この限りではありません。

・試料空気の採取時間は、当該採取を行う作業日ごとに労働者が金属アーク溶接等作業に従事する全時間です。なお、採取の時間を短縮することはできません。

2 換気装置の風量の増加その他の措置(特化則第38条の21第3項)

 溶接ヒュームの濃度測定の結果に応じ、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じます。(次に該当する場合は除きます。)

a. 溶接ヒュームの濃度がマンガンとして0.05mg/㎥を下回る場合

b. 同一事業場の類似の溶接作業場において、濃度測定の結果に応じて十分に措置内容を検討し、当該対象作業場においてその措置をあらかじめ実施している場合

3  溶接ヒューム濃度の再測定

 2の措置を講じたときは、その効果を確認するため、再度、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定します。

・溶接ヒュームの濃度の測定等を行ったときは、その都度、必要な事項を記録します(3年保存)

4 呼吸用保護具の選択の方法(測定等告示第2条)

・溶接ヒュームの濃度の測定の結果得られたマンガン濃度の最大の値(C)を使用し、以下の計算式により「要求防護係数PFr」を算定します。

「要求防護係数」を上回る「指定防護係数」を有する呼吸用保護具を以下の一覧表から選択します。
・保護具を以下の一覧表(抜粋)から選択します。

表1 指定防護係数*一覧(抜粋)

5 フィットテストの方法(測定等告示第3条)

 JIS T8150(呼吸用保護具の選択、仕様及び保守管理方法)に定める方法またはこれと同等の方法により、呼吸用保護具の外側、内側それぞれの測定対象物質濃度を測定し、以下の計算式により「フィットファクタ」を求めます。


「フィットファクタ」が以下の「要求フィットファクタ」を上回っているかどうか確認します。

全面形面体を有するもの  500

半面形面体を有するもの  100

三. 掃除等の実施(特化則第38条の21第9項)

金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行う屋内作業場の床等を、水洗等によって容易に掃除できる構造のものとし、水洗等粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上掃除しなければなりません。※「水洗等」には超高性能(HEPA)フィルター付き真空掃除機が含まれますが、粉じんの再飛散に注意する必要があります。

四. 特定化学物質作業者主任者の選任(特化則第27条、第28条)

1.「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を終了した者のうちから作業主任者を選任し、次の職務を行わせることが必要です。

作業に従事する労働者が対象物に汚染され、吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること

2. 全体換気装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること

3. 保護具の使用状況を監視すること

五. 特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条)

溶接ヒュームを取り扱う作業に常時従事する労働者に対して、健康診断を行うことが必要です。

・金属アーク溶接等作業に常時従事する労働者に対し、雇入れまたは当該業務への配置換えの際およびその後6月以内毎に1回、定期に既定の事項について健康診断を実施する(1次健診)
・健康診断の結果(個人票)は、5年間の保存が必要

六. その他必要な措置

① 安全衛生教育(安衛則第35条)
② ぼろ等の処理(特化則第12条の2)
③ 不浸透性の床の設置(特化則第21条)
④ 立入禁止措置(特化則第24条)
⑤ 運搬貯蔵時の容器等の使用等(特化則第25条)
⑥ 休憩室の設置(特化則第37条)
⑦ 洗浄設備の設置(特化則第38条)
⑧ 喫煙または飲食の禁止(特化則第38条の2)
⑨ 有効な呼吸用保護具の備え付け等(特化則第43条、第45条)

Please enter comment

皆様の記事の内容や分析に関してのコメントをお待ちしております。

※皆様から投稿いただいたコメントは公開させていただいております。
※弊社へのお問い合わせ(非公開)についてはこちらのフォームよりお願いいたします。

は必須項目ですので、必ずご入力ください。

下記リンク先のプライバシーポリシーをお読みいただき、ご同意の上お問い合わせをお願いいたします。

RANKING 人気事例ランキング

TAG LIST

油分赤外分光光度計赤外分光ガスクロEPMAGS/MS尿素JIS K 2247一般廃棄物処理環整95号ごみ質分析危険物判定技報圧縮空気表面観察SEM硬さ古紙パルプ偽装はがき環境リサイクル新聞古紙JIS P 8120染色配合率におい成分コーヒー香り香料加熱脱着法気中の微量成分国際宇宙ステーションISS宇宙飛行士飲料水水パックヨウ素種子島宇宙センター宇宙ステーション補給機こうのとりHTVH2Bグリーン購入法信頼性確保PET特定調達物品森林認証材間伐材軟水硬水おいしい水硬度キレート滴定EDTA金属イオン誘導結合プラズマICP健康マイクロスコープ形態観察ハイダイナミックレンジHDR深度合成金属組織組織エッチング金属組織観察研磨琢磨ダイヤモンドフェノールエポキシアクリル低周波音騒音1Hz-100Hz物的影響周波数補正特性G特性SLOW特性動特性かおりガスクロマトグラフ悪臭物質大気リフラクトリーセラミックファイバーRCF作業環境測定労働安全衛生法総繊維数分散染色法位相差顕微鏡炭素硫黄CS計赤外線吸光法燃焼鉄鋼高周波炉管状炉非鉄金属セラミックFT-IR材質判定ゴム樹脂異物の判定構造解析非破壊微小物の分析マッピングイメージング元素分析元素組成窒素定量フリッツ プレーグルCHN計水素窒素組成式コークス類材料分析試料汚染定性分析試料採取微小試料XRDWDX特性X線波長分散分光法エネルギー分散分光法EDXFE電子銃エネルギー分解能熱分析TG-DTADSC酸化融解結晶化ガラス転移吸熱発熱前処理ボイド塗装プラスチック車両塗装顕微鏡SEM-EDX土壌汚染対策法改正土壌土壌汚染土壌汚染状況調査健康被害形質変更時届出区域土壌環境清浄度JIS B 8392清浄等級同体粒子パーティクルカウンター圧力露点オイルミストオイル蒸気微生物汚染物質イオンミリング前処理装置高倍率観察微小分析断面作製結晶コントラスト面分析油分分析ノルマルヘキサン油含有土壌TPH試験脱脂効果GC-FID四塩化炭素トリクロロトリフルオロエタンAESXPSSIMSTOF-SIMS電子線X線イオン定量分析硬さ試験ビッカースロックウェル鉛筆法モース静的硬さ圧痕動的硬さ引っかき硬さ有機分析炭化水素計法全有機体炭素計元素分析計法フーリエ変換赤外分光分析HPLCLC/MS塗料品密着性耐摩擦性JIS K 5600JIS S 6006揮発性有機化合物VOC希釈質量分析法JIS K 0125メスフラスコクロロエチレン揮散第4類引火性液体危険物確認試験特殊引火物第一から第四石油類引火点アルコール類危険物データベース登録安全データシートSDS表面分析水道器機浸出試験日本水道協会規格JWWA Z 108JIS S 3200-7亜鉛カドニウム六価クロムフェノール類環境大気吟醸香かおり風景100選HS-GC/MS悪臭防止法熱分解GC/MS排ガス空気分析TD-GC/MS有機化合物付着油分脱脂洗浄表面不良試料分解法溶解加圧酸分解マイクロ波酸分解常圧酸分解るつぼJIS B 8392-1固体粒子測定ダイオキシン環境教育作業環境教育技術指導教育コンサルティングSTA 2500 Regulus受託分析ペーパーレスミクロの傑視展速報分析結果SEM写真電子染色ブタジエンABS樹脂樹脂めっき品オスミウム染色ラボタオル吸水度炭素材料鉛筆溶接ヒュームアーク溶接引火点タグ密閉法迅速平衡密閉法ペンスキーマルテンス密閉法クリーブランド開放法JIS K 2265ビフィズス菌ヒトミルクオリゴ糖高分子材料火災の原因調査火災トラッキング火災家庭の理化学分析破面観察デジタルマイクロスコープ報告書例環境分析排水分析JIS K 0102環告64号水質汚濁防止法工場排水健康項目生活環境項目臭気厚労省告示第261 号上水試験方法官能法三点比較法カルキ臭アドブルー尿素水AUS 32品質要件ディーゼル車SCRCO2NOx 窒素酸化物還元剤アンモニア排気ガス浄化軽油尿素濃度アルカリ度不溶解分水道水水道用資機材水道用器具給水装置日本水道協会浸出性能試験JIS S 3200臭気強度TON塩素臭精度管理標準化尿素分析臭気分析JIS K 2247-1 2021環境水河川水地下水公共用水域環告59号環告10号水道法上水道簡易水道水質基準水質検査機関建築物飲料水水質検査業金属腐食局部腐食異種金属接触腐食ガルバニック腐食粒界腐食遊離珪酸含有率測定孔食酸素濃淡電池腐食腐食調査化学物質管理ばく露リスクアセスメント労働安全衛生規則ばく露管理値個人ばく露測定法改正断面試料作製蛍光顕微鏡内部欠陥内部組成可視化技術落射観察蛍光観察製品不具合カルボR耐久テスト純水JIS K 0557:1998ISO 3696-1987蓄電池用精製水規格周期表ドミトリ メンデレーエフ化学の基礎アスベスト石綿アスベスト調査大気汚染防止法石綿障害予防規則GC-MSPT法HS法パージ・トラップ法ヘッドスペース法サーマルデソープション法紅茶の香り成分原子量シャルルドクーロンアイザックニュートン電子殻防災地震災害対策BCP福利厚生電子軌道FFT 周波数床振動測定保全予防予知保全高速フーリエ変換FFTクラフトジン宇宙GINASTRONAUTS WATER

CONTACT

生産・製造のトラブルでお困りの方、分析のご相談は
お気軽にお問い合わせください。

Pagetop