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危険物確認試験解説 – 第4類 引火性液体-

1.はじめに

 消防法は、火災を予防しそして火災から国民の生命、身体及び財産を保護し、地震等の災害による被害を軽減することなどを目的として昭和23 年に公布された。消防法は日常の火災予防、消防設備の設置・点検などを定めるとともに、「火災発生および拡大の危険性が大きい」、「火災の際に消火の困難性が高い」などの性状を示す物品を「危険物」として指定し、火災予防上の観点からその貯蔵、取り扱い、運搬方法を規定する。

2. 危険物の分類

 危険物を火災発生の危険性により第1 類から第6 類に分類し、基本的に総称的名称を用いて各類の対象品名を、消防法別表第1 に定める。表1 に別表第1 の内容とその特性をまとめた。

消防法別表 第1と特性
表1 消防法別表 第1と特性

3. 危険物確認試験

 表1 の品名に記載されている物質であったとしてもそれら全てが危険物に該当するわけではなく、危険物に該当するかどうかを原則として確認試験により判定する。判定結果によっては品名が記載された物質でも危険物に該当しない場合がある。
 確認試験は消防法及び危険物の試験及び性状に関する省令に方法が定められており、試験結果によりその物質が危険物としての性状があるかどうかを判断できる。例えば第2 類の確認試験は、その特性である火炎により着火しやすい固体かどうかを判断するため一定量の物質に火炎を接触させ、着火するまでの時間を測定する試験(小ガス炎着火試験)を行う。
 危険物の判定に確認試験を用いる理由として次が挙げられる。
 1. 総称的名称では、危険性が個々の化合物ごとに異なる。
 2. 混合物は、その含有率により危険性が異なる。
 3. 固体は粒度、形状等により危険性が異なる。
危険物は、性質が類により異なるため、試験方法も類ごとに決められており、種類も様々である。また、同類の危険物の中でもその危険性に差があるため、確認試験の結果からランク分けしている。このランクに応じて「指定数量」が定められている。指定数量は消防法の規制を受ける危険物の量をいう。危険度の低い物質ほど多く、危険度の高い物質ほど少ない。指定数量以上の危険物の製造、貯蔵、取り扱いは、市町村等の許可を受けた施設で、定められた基準に従い行わなければならない。このように、危険物と判定された物質はその取り扱いに規制が加わることになる。

4. 第4 類 引火性液体の確認試験

 表1 の第4 類に該当する石油類は、多くの製品に使用されるため、確認試験が最も多く行われる。第4 類に分類される危険物の特性は引火性にある。したがって確認試験は、主にその物質の引火点を測定することになる。
次に第4 類危険物の確認試験及び判定の方法をまとめる。

4.1 特殊引火物および第一~第四石油類

 特殊引火物および第一~第四石油類の確認試験は付図の判定フローに従い行う。確認試験は液状確認試験から始まり、その結果に応じて以降の試験へと進み、判定に至る。付表 に特殊引火物および第一~第四石油類の判定基準をまとめた。以下に各試験の概要を記す。

表、特殊引火物、第一から第四石油類
付表

液状確認※1

 液状確認は、その名の通り物質が液状かどうかの試験である。試験は20℃で液状であるか、又は20℃から40℃までの間で液状かを判断する。内径30mm、高さ120mm の平底円筒型のガラス製の試験管に試験に供する物質を高さ55mmになるよう入れ、恒温水槽に入れて温度を20℃に調節する。恒温水槽から取り出した試験管を水平にし、物質の液面の先端が試験管の底から85mm の部分を90 秒以内に通過するかを確認する(図1)。90 秒以内であれば液状と判断する。90 秒を超える場合同じ試験を40℃で行い、90秒以内であれば液状と判断する。90 秒を超える場合「固体」と判断し、第4 類の危険物に該当しないと判定する。

※ 1 物質が常温で他の容器へ容易に移し替え可能な場合、上記の試験を行うことなく液状であると判断する。そのため、液状確認試験を省略できる。

液状確認試験法図
図1 液状確認の試験方法

引火点

 引火点は、物質を除々に加熱し小さな炎を近づけたとき瞬間的に引火する最低温度をいう。引火点が低くなるほど危険度は高い。引火点はタグ密閉式、セタ密閉式、クリーブランド開放式の3種の方法を用いて測定する。3 種の特徴を表2 にまとめた。なお引火点は測定中に試験が続行不可となる場合がある。例えば、加熱中に水蒸気や不燃性ガスが発生し近づけた炎が消える、沸騰して一定速度の昇温が困難になる、加熱中に激しく反応して硬化するなどが挙げられる。それらの場合、引火点は測定できない。そのため結果が” 引火点なし” となり第4 類の危険物に該当しないと判定する。

金貨店測定方法の特徴
表2 引火点測定方法の特徴

沸点※2

 沸点が低いほど、より気化しやすいため、危険度が高くなる。試験に供する物質と沸騰石をフラスコに入れ冷却器を取り付け、加熱する。液体が気化し、気体が冷却され液体に戻る挙動(還流という)が、一定速度で行われる温度を沸点とする。

発火点※2

 可燃性の物質は空気中で加熱すると、火源がなくても発火する。この時の温度を発火点という。試験に供する物質を入れた丸底フラスコを加熱炉内に置き、温度を変えながら発火を確認する。

※ 2 成分に特殊引火物を含まない場合試験の必要は無い。

燃焼点

 引火点が瞬間的に引火する最低温度であるのに対し、燃焼点は5 秒以上燃焼が継続する最低温度をいう。引火点同様、燃焼点が低いほど危険度は高い。燃焼点は引火点より必ず高くなる。なお引火点の燃焼は継続しない。

可燃性液体量※3

 物質に含まれる可燃性液体の割合を指す。その物質の引火点によって試験方法が異なる。引火点が100℃未満の場合は加熱残分の測定により可燃性液体の含有率を求める。引火点が100℃以上の場合、減圧蒸留により可燃性液体の含有率を求める。 

※ 3 物質の成分が既知の場合、試験を行う必要は無い。

水溶性確認

 物質が水溶性か非水溶性かを確認する試験で、石油類に該当する場合に行う。非水溶性で水より比重の小さい場合流出した水の表面に広範囲に広がりやすく危険度が高くなる。試験に供する物質を同量の水と緩やかにかき混ぜて静置し、流動がおさまった際に水と均一に混合していれば、水溶性液体と判断する。

4.2 アルコール類

 危険物に該当するアルコールは、一分子中の炭素原子数が1 個から3 個までの飽和一価アルコール(変性アルコールつまり飲食用に転用を防止したアルコールを含む)である。その物質がアルコール類に該当するか否かは図2 のフローに従って判定する。

アルコール類確認試験
図2 アルコール類確認試験
特殊引火物および第一から第四類判定フロー
付図 特殊引火物および第一~第四石油類の判定フロー

5. 最後に

 当社は危険物確認試験から、消防庁の危険物データベース登録の際に消防庁へ提出する確認試験結果報告書の発行まで一貫して行っています。危険物確認試験のご依頼の際は、物質の組成情報及び組成成分の安全データシート(SDS)等の提供を是非お願いいたします。組成が把握されると、場合により試験結果も予測され、確認試験に必要なサンプル量を減らせます。さらに、試験時間の短縮や省略も可能となりますので、判定結果を早く報告できます。
 確認試験は高温に加熱したり火を近づけるなどの行為を伴うため、時として試験中の爆発や有毒ガスの発生等を生じます。物質の組成情報があれば試験の際に適切な安全対策が可能となります。測定者の労働安全衛生上の見地からも情報を提供頂けると幸いに思います。なお危険物確認試験についてご不明な点、ご質問等ございましたらお気軽にご相談ください。

参考文献

1. 危険物関係用語の解説( 第15 回). Safety&Tomorrow. 2011, (135), p.59-64. ( 用語解説)
2. 上原陽一. 危険物規制の概念と現状について. 廃棄物学会誌. 1992, 3(3), p.156-163.
3. 総務省消防庁. http://www.fdma.go.jp/kasai_yobo/about_shiken_unpan/kakuninkiken.html(参照2019-5-22)
4. 総務省消防庁. https://www.fdma.go.jp/relocation/kasai_yobo/about_shiken_unpan/00-010223ki11.pdf(参照2019-5-22)
Author 宇田 貴尋Uda Takanori
Comments みなさんのコメント
デンジャー部隊

第四類の確認試験を行いたいのですが、サンプルはどの位必要ですか。

unichemy

約1Lご用意下さい。

引火の帝国

確認試験の判定結果が出るまでにはどの程度の期間がかかりますか。

unichemy

試験内容によって異なります。例えば第四類の場合、判定フローに沿って順次試験を行うため、早くても試料到着から約2週間、長いと1ヶ月以上要する場合もあります。

Fireman

何類の危険物確認試験を行えばよいのかわかりません。

unichemy

対象サンプル(製品)の性状、組成により試験内容が決まります。サンプルの性状、組成を確認のうえ、いつでもご相談ください。

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