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炭素・硫黄分析装置(CS計)による炭素・硫黄の分析
1.はじめに
炭素や硫黄はセラミックスや鉄鋼・非鉄金属、非金属材料などの各種工業用材料に固溶体、炭化物、酸化物、硫化物など様々な形態で存在し、材質に大きな影響を与えます。例えば鉄鋼中の炭素は硬さや強度に影響し、硫黄が過剰にあれば材質が脆くなり強度を低くします。そのため材料中の炭素・硫黄含有量の管理が重要で原材料や製品の中の炭素・硫黄を低含有量から高含有量まで精度良く測定することが求められます。 今回は炭素、硫黄の含有量を迅速で高精度に分析する炭素・硫黄分析装置(CS計)を用いた燃焼-赤外線吸収法の特徴を紹介します。
2.燃焼-赤外線吸収法
燃焼-赤外線吸収法は、試料を酸素気流中におき高温に加熱し燃焼させ、含まれる炭素及び硫黄を酸化物として取り出し、それを測定した赤外線吸収量をあらかじめ求めた検量線から換算して、炭素又は硫黄の量を求める方法です。この方法は、鉄鋼をはじめとする金属分析のみならず、セメントなどの無機材料、汚泥など環境測定にも用いられます。具体的に定められた試験規格の例として、鉄鋼中の炭素と硫黄の分析に適用されるJIS G 1211及び1215があります。
現在この方法を迅速にそして高精度に分析する装置の開発が進み、専用の分析装置として使われています。簡便なだけに成分が不明の試料は定性分析の併用などが必要ですし、妨害を生じる場合情報の再検討するなど高度の知識も必要です。
3.炭素・硫黄分析装置
燃焼-赤外線吸収法を装置とした炭素・硫黄分析装置は、操作が簡便で迅速に分析できるなどの特徴があります。装置は採用する加熱燃焼法の方式、高周波誘導加熱炉(以下高周波炉という)と管状電気抵抗炉(以下管状炉という)から二種類に分類されます。
高周波炉の加熱原理は、導線に流した交流電流のため発生した磁力線の変動により生じる電磁誘導です。磁力線の影響を受け渦電流が発生した誘導コイル中に置かれた金属製の試料容器は、電気抵抗があるため熱を発生し自己加熱します。試料容器だけでなく、試料に混ぜ合わせた鉄やタングステン等により温度を更に高温にして、試料を燃焼させ目的元素である炭素と硫黄の酸化物を放出させます。これは家庭にあるIH調理器と同様の原理です。
管状炉は、磁性管を電気炉で1450℃に加熱します。溶融しやすくするためスズを加えた試料を加熱して目的の元素を測定します。
それぞれの装置構成の概略を図に示します。測定は、まず試料をスズやタングステンなどの助燃剤とともに試料ボートに乗せて酸素気流中に置き加熱して燃焼させます。目的の元素である炭素(C)と硫黄(S)はそれぞれCO2(又はCO)及びSO2に酸化されます。燃焼ガスからダストと水分を除去した後に、赤外線検出器に導入し測定します。
4.それぞれの特徴
高周波炉は短時間で目的の元素を放出します。そのため装置は感度が良く鉄鋼や非鉄金属などの材料に含まれる目的の元素を低濃度まで測定できます。測定範囲は装置のメーカーや仕様等で違いがありますがおおむね数ppm~数%です。
管状炉は、試料の種類を選ばない特徴があります。水分を多く含む試料はあらかじめ乾燥する必要がありますが、鉄鋼や非鉄金属だけでなく樹脂やゴム類、紙、繊維など有機物の試料も同様の操作で測定できます。また管状炉は加熱する温度を任意に設定できるため研究開発や品質管理のニーズに合わせた測定が可能です。
5.おわりに
燃焼-赤外線吸収法は金属やセラミックス、耐火物等の炭素や硫黄の分析方法がJIS規格に採用されています。当社は高周波炉だけでなく管状炉による受託分析が可能なため、分析方法の規格が定められていない様々な試料も迅速に測定できます。炭素や硫黄の濃度を把握したい未知試料がありましたらご相談ください。
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