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英國蒸留所視察記

英国デパート、スーパーマーケットのジン売り場

1.はじめに

宇宙ジンの発売をきっかけに、2024年9月にジンの本場、英国へ社を代表しマーケットリサーチに行ってまいりました。わたくしが代表選出されたのは、ん、十年前※ 1 に英国の中部、ノッティンガムに学部留学しており英国に土地勘と馴染みがあるということが理由です。

卒業以降は、友人を訪ねたり、ウイスキーの蒸留所や訪問先の地場産業を見学したり、「わぁ、安定の味ぃ」と評判のよろしくない英国料理を楽しみに行ったりとわたくしなりの距離感で英国に触れてきました。
しかし、最後の訪問から気が付けば10年が経ち、その間に英国は、EU 離脱(ブレグジット)、クイーンからキングの時代へと移り変わっていました。今回の訪問では、そんな「変化後の英国」を肌で感じることができ、大変感慨深い時間となりました。

本コラムでは蒸留所視察についてまとめました。読んでくださる皆さまにも、英国の蒸留所をめぐる旅に同行しているような気分を味わっていただければ幸いです。写真とイラストを交え当時の熱量を綴っております。
それでは、ジン蒸留所ツアーへとご案内いたします。

※ 1「青と赤のガウン」(PHP 文庫)の著者彬子女王のオックスフォード留学と近しい期間です。そして、作中の試験の前後(わたくしの場合は作品提出)には、涙が止まらなくなる怪現象も共感しかないエピソードです。

2. 英国中部ジン蒸留所巡り:3つの特色ある製造現場

首都ロンドンから列車で約2時間、中部地区に点在する3つの蒸留所に伺いました。
 ホワイトピーク蒸留所 
 ロックスリー蒸留所 
 レッドスミス蒸留所 
の順に紹介いたします。

英国中部蒸留所マップ

歴史的工場建築を活用したウイスキー・ジン製造現場

ホワイトピーク蒸留所 White peak distillery  ( Matlock / Derbyshire )

ホワイトピーク蒸留所 White peak distillery
ホワイトピーク蒸留所 White peak distillery

英国中部、マトロック(Matlock)という、世界遺産、“ ダーウェント峡谷の工場群 ” のある村のウイスキーとジンの蒸留所です。この地域、川沿いの美しい風景にかなり年季の入った工場(かつては綿工場や織物工場)が点在しており、その工場をリノベーションし利活用された蒸留所です。
蒸留所にたどり着くには、他の工場の駐車場を縦断しなければならないので、守衛さんに声をかけられます。

「今から蒸留所(distillery)に行くんだけど、どう行けばいいの?」
日本語にするとさらっと通じたみたいですが、この”distillery ディスティラリィ” がなかなか通じず…音節の区切りにしたがって” ディスティラ↑リィ↓ ” と言ってみましたが、数秒(ん?)という顔され、
「ディスティラレイね!」(わたしにはそう聞こえました)
「突き当りまで進んで、右に曲がって進むと蒸留所だよ」
と親切に教えてくれました。

ホワイトピーク蒸留所の見学ツアーは、週末の決まった曜日、時間しか受け付けていないため、今回の訪問では併設のショップに伺い、少しお話を聞きました。先に30代の男女が、ウイスキー試飲中でしたが、
「わたしもよろしいかしら?」とジンを試飲させていただきました。

ホワイトピーク蒸留所のsignature(シグネチャー/冠商品、代表商品)は『SHINIG CLIFF ORIGINAL 』⑴ 、かなりドライでシンプルなジンで、こちらをはじめに試飲しました。日本酒の菊正宗に近い辛口です。

続いて『 SHINIG CLIFF SPICED ORIGINAL 』⑵ 、こちらもドライではあるのですが、ファーストアタックが(ん?)という感じでしたが、後からスパイスが聞いてくるのか、個性が出てきます。

SHINIG CLIFF ORIGINALと 
SHINIG CLIFF SPICED ORIGINAL
左:(1) SHINIG CLIFF ORIGINAL 右:(2)SHINIG CLIFF SPICED ORIGINAL

最後に、『 WIRE WORKS WHISKY 』私は、ウイスキーがよくわからないので、若めのウイスキーだなという貧相な表現にはなりますが、ウイスキーという味でした。
この店の名物なのか、自分で詰める樽出しウイスキー(Distillery Exclusive Hand-Fill / £ 90)というちょっとしたアトラクションがあり、先客の男性が体験していました。
ポンプが700ml しか吸い上げないので、規定量を瓶に詰める事ができるとの事ですが、ウイスキーのフレッシュ感が良いのでしょうか?はてまた、自分で詰めたという経験に価値があるのでしょうか? 男性は楽しそうに詰めていたので、オールオッケーかと思います。

この視察では、ジンの試飲と参考商品の購入のミッションを課されていますので、先客の男性がウイスキーの手詰め体験をされている間、シグネチャージンかスパイスジンのどちらを購入しようかと迷い、2本を目の前に並べ、
「うーん、やっぱりスパイスの方にします」
と選択すると、
「おっ!正解、自慢の商品だからね!間違いないわよ」 
とプッシュしてくれました。

古い工場跡の建物も見学が敵わず後ろ髪をひかれる思いでしたが、後にしました。

Grade2登録文化財で体験するクラフトジン製造技術

ロックスリー蒸留所 Locksley Distilling (Sheffield)

ロックスリー蒸留所 Locksley Distilling 
ロックスリー蒸留所 Locksley Distilling 

予約のバウチャーには” 5分前に集合場所のドアの前で待っていて、時間になったら係員がドアをあけるから” という注意書きがされています。予約したものしか建物に入れない特別感のある演出です。

小雨の中(帰る頃には本降り)指定されたドアの前で待っていると、参加者と思わしき人たちが続々と現れました。フード被った(雨よけです)アジア人に警戒してなのか距離を取られて待機、” わたしくも参加者です”感を出して待っていたのですが、警戒感は払拭できず、力不足であります。

10名ほどが集まった頃、ドアが開き、店主による参加者の点呼が始まりました。

ロックスリー蒸留所でドアを開ける店主

この蒸留所、建物が年代物。1800年代(1879)に建てられた、” ポートランドワークス(Portland Works)” というステンレス刃物工場をリノベーションして利活用をしていています。大きくリノベーションせずに、使用しているところにとても好感が持てます。

当時、金属加工はシェフィールドの一大産業であったそうです。
中庭を要塞のように建物が囲んでおり、シンボリックな煙突が立ち、要塞部分はいくつもの小部屋にわかれています。この特徴的な建物の理由は、ひとつのステンレスナイフの加工工程ごとに会社が存在していたためだそうです。
例えば、鋼を作る会社、形成の会社、鍍金の会社、磨きの会社 など” ポートランドワークス” 内に数社が入居し、ひとつのステンレスナイフを製造、加工、出荷をするという流れだったそうです。

さらに、こちらの建物は”Grade2 listed building” 日本でいうところの登録有形文化財に指定されています。ロックスリー蒸留所は、2013年にこの” ポートランドワークス” で蒸留所をオープンしたそうです。

ロックスリー蒸留所 Locksley Distilling 
ロックスリー蒸留所 Locksley Distilling 

ロックスリー蒸留所では、次の3つの部屋を借りています。
1. 待合兼ショップ(オリジナルジン製造のワークショップを行う部屋)
2. 第一蒸留と出荷作業を行う部屋
3. レシピ開発の部屋
の順番に案内をされました。

参加者は全員で10名。シェフィールドに住む60代のご夫婦、アメリカ出身30代男女、多国籍な5人組(女2人、男3人)、そして、わたくし。

まず、待合兼ショップでオリジナルトニックを振舞ってくれます。ほんのり甘く、ドライオレンジが効いています。このドライオレンジも手作りです。
ロックスリー蒸留所のシグネチャーは、『 Sir Robin of Locksley Gin 』 ⑶で、メインのボタニカルがジュニパーベリーとエルダーフラワーのドライジンです。テイスティングするとジュニパーベリーよりはエルダーフラワーの方が強く感じました。

オリジナルトニック
オリジナルトニック

次に、『 Morocello Blood Orange Citrus Liqueur 』 ⑷ リキュールを試飲しました。
“ 何かに似ている… リ、リボン、オレンジ! ” ※ 2
ロックスリー蒸留所では、オレンジに力を入れていて、先のオリジナルトニックもそうなのですが、このリキュールに関しても、オレンジマーマレード(marmalade)をいくつも試し、とあるスーパーで売っているマーマレードに行きついたそうです。(スーパーマーケットwaitrose のラベルのついたネット入りオレンジが散乱しているのを見つけてしまいました。)

そして、『 VSOT – Navy Strength, Very Special Old Tom Gin 』 ⑸(クリアな刺激が好みの風合いだったので、後から調べたら、57.5 度でした)を試しました。この3種類がロックスリー蒸留所の自慢の3品で、店主のお話を聞きながら試飲後、第一蒸留と出荷作業を行うお部屋へ移動しました。

(3)Sir Robin of Locksley Gin (4)Morocello Blood Orange Citrus Liqueur (5)VSOT – Navy Strength, Very Special Old Tom Gin
左:(3)Sir Robin of Locksley Gin 中:(4)Morocello Blood Orange Citrus Liqueur 右:(5)VSOT – Navy Strength, Very Special Old Tom Gin

※ 2 リボンジュース(リボンオレンジ/ Ribbon オレンジ)1952 年発売。赤いリボンのキャラクターリボンちゃんがかわいい。

この第一蒸留と出荷作業のお部屋はガレージ仕様で、パレット積みされた瓶などをフォークリフトでトラックに積めるよう、外に通じる大きな観音扉が設置されています。ちなみに19世紀の工場跡なので扉は木製で扉止めも木製です。

仕入れた醸造アルコール、4トンがステンレスコンテナに保管されていました。その横にはタワー型のガス蒸留器が設置されて、高濃度アルコールが抽出できるようです。天井、床には様々な容量のステンレス樽が転がったり、吊るされたりしていました。ロックスリーブランド以外はOEM(コラボと表現していました)がほとんどで、有名シェフの名前や観光名称、依頼された先のイメージに合わせたジンを造っていると説明くださいました。OEM 先の受注量でステンレス樽の大きさを変えているとの事です。

蒸留後は、プラスチックやステンレスの樽に詰めて、3週間寝かせます。
そして、瓶(リサイクル瓶)に詰め、ラベルを貼り、出荷の行程を行います。
参加者からレシピについての質問があったのですが、
” 企業秘密、絶対に教えなーい”
” レシピは計算、経験値に基づいて全て計算します”
” 何と何を組み合わせるかを緻密な計算に基づいて算出しています” 
ニコッと笑顔でかわされていました。

そして、最後のレシピ開発のお部屋へ。
ここは中庭を挟んで、斜向かいの2F で、24㎝の足のサイズでもはみ出してしまう狭い小さな階段を上っていきます。中庭まわりの要塞の中の小部屋には他にも企業やクリエーターが入居しており、音楽スタジオから、あまり上手ではないロックバンドの演奏が聞こえてきていました。部屋から部屋へと移動中に、演奏者と思わしき、男性が恥ずかしそうに出ていきました。

レシピ開発のお部屋は広く、剥き出しレンガの壁に様々な実験ガラス器機が並び、エバポレーターのような器機、正面に電気蒸留釜がそびえたちます。電気釜では香りづけと第二蒸留を行うようです。シンボリックな釜は鉄釜で蒸留塔には4つの節があり、釜のすぐ下はコイル状の銅、残り3つはセラミックス、天井付近まで上がった蒸気が冷まされ、下に降りていく仕組みの様です。

電気蒸留釜ラスト

厳密に計算されたレシピから生まれた様々なフレーバーのジンを試飲しましたが、この時、既にツアーは2時間を超え、わたくしの疲労がピークに達し、ちょっとしたきっかけでバランスを崩し、おもいっきり尻もちをついて周りを驚かせてしまいました。

印象に残っているものを記します。
『 Raspberry & Cardamom Sir Robin of Locksley Gin 』 ⑹ ラズベリーのみ香りづけ、カルダモンのみの香りづけをそれぞれ試飲。『 Clam & Cork Co-Lab Gin 』 ⑺ 最も尖ったジンでした。海岸の香りと紹介文には書かれていますが、魚醤の香りです。他にも様々な香りのジンが大きさの異なる入れ物に保管されていました。レシピ開発にかなりの努力をされているなという印象でした。

そして最初に通された部屋に戻り、最後にチョコレート ⑻ とコーヒー⑼ のフレーバーのジンを試飲しました。この2つ、参加者にはすこぶる評判がよく、ショップも兼ねているのでざくざくご購入されていました。
私には、雪印のコーヒー牛乳と駄菓子のココアシガーが脳裏に浮かんでしまって、そこまで心が動かなかったので、ラズベリー、シグネチャー、高濃度アルコールのミニミニボトルを購入し、写真を撮影して、ロックスリー蒸留所を後にしました。

左から:(6)Raspberry & Cardamom Sir Robin of Locksley Gin (7)Clam & Cork Co-Lab Gin (8)Cocoa Nib Liqueur (9) Speciality coffee Liqueur 
左から:(6)Raspberry & Cardamom Sir Robin of Locksley Gin (7)Clam & Cork Co-Lab Gin (8)Cocoa Nib Liqueur (9) Speciality coffee Liqueur 

既に21時をまわり、雨も本降り、ちょっとした工場地帯、周りは暗く、( やべぇなぁ )と思いつつ、フードを深く被って明るい幹線道路まで迷いなく歩く事で現地住民になりすまし、足早に、宿へ向かいました。

少量生産にこだわる職人のジン造り哲学

レッドスミス蒸留所 Redsmith Distillery (Nottingham)

レッドスミス蒸留所 Redsmith Distillery
レッドスミス蒸留所 Redsmith Distillery

勝手知ったるノッティンガム。かつて市場だった場所の小さな蒸留所です。
15年前でも食料品店1件が営業している寂しい場所でしたが、その後、クリエイティブクオーターという、クリエーターに場所を貸し、事業者を育成する行政の制度で再活用され、『 スナイントン マーケット 』(SNEINTON MARKET)と呼ばれています。お花屋さん、パン屋さん、クラフトビール、コーヒー焙煎所など33の小規模事業者が入居しているようで2015年に再オープンしました。

この日もまた小雨が降っていて、この国の“ 1日1回、雨が降る” 気候は体に染みついているはずなのですが、疲労と雨は、体を蝕んでいきます。
目的地のレッドスミス蒸留所がなかなかみつからず、MAP で探しました。
(33…)該当の33の場所には、ステンレス貼りの引き戸があるだけで、表示はありません。なんとなく置かれたA型看板に目をやると『 Red Smith 』の文字を発見しました。扉は5㎝ほど開いていて中の明かりが漏れていたので、ガラッと開けてみました。(この国にはめずらしく引き戸です)

レッドスミス蒸留所は、間口が1間半(2.7 m)、奥行 3間(5.4m) ほどの蒸留所で、正面に、コンパクトな銅製の蒸留機がドーンと現れ、左サイドにはキッチンと作業台、右サイドにはボタニカルを浸けた寸胴がいくつか重ね並べてあります。二、三歩程度の距離にカウンターがあり、ここから店主がジンを出し試飲をさせてもらえます。

カウンターには、白髪の品のいいご夫婦が座っておられ、その奥に立つ店主の
「今、丁度試飲会中で…」
という返事にかぶせるように
「すみません、日本からきたので、ジョインさせてもらってもいいですか?」
と宣言すると
「もちろん!」
とご夫婦から快諾を得て、参加させていただきました。

ここで造られる酒の原酒(醸造アルコール)は全て、グレイン(大麦)で、仕入れをしています。
シグネチャージンは『 Redsmith London Dry Gin 』 ⑽ 、昔ながらのロンドンドライジンの製法を守り製造しています。
折角なので、ノッティンガムのジンであるアップルジン『 Redsmith Dry Apple Gin 』⑾ をいただきました。

わたくしも知らなかったのですが、ブラムリー(Bramley apples)という、この国では、メジャーなこぶしサイズのリンゴはノッティンガム周辺で産まれたらしく、こうした歴史的背景を基につくられたジンだそうです。ロビンフッド※ 3 の街だからリンゴなのかな?と一瞬思いましたが、リンゴはウイリアム・テルでロビンフッドではないなと瞬時訂正しました。

ロビンフッドとウィリアムテル

※ 3 ロビンフッド:シャーウッドの森(巨大なオークが有名)に住んでいたとされる伝説上の人物。英国版ねずみ小僧です。ノッティンガム城に弓を放つロビンフッドの銅像があります。

このアップルジン、生のりんごを浸けて香りづけしています。リンゴの仕込みされた寸胴の中身を見せていただきましたが、まぁまぁな量のむきりんごがプカプカ原酒に浮いており、
「色々試したけど、これが一番いい方法なんだ」
と説明されました。アップルジンはアップルで、ちゃんとアップルが薫ります。

次にオレンジジン、『 Redsmith Aranceto Dry Orange Gin 』 ⑿ を試飲しました。お話を聞きながら、( イギリス人はオレンジを深堀りしがちなのかな? シェフィールドのロックスリーではマーマレードだったし )。レッドスミスでは、試行錯誤の上、凍らせたオレンジを採用したようで、冷凍庫からタッパーに入ったかっちかちのカットオレンジを見せてくれました。こちらのジンは、オレンジの香りはするが、味はドライジンで辛口、オシャレなジンでした。

左:(10)Redsmith London Dry Gin 中:(11)Redsmith London Dry Gin 右:(12)Redsmith Aranceto Dry Orange Gin
左:(10)Redsmith London Dry Gin 中:(11)Redsmith London Dry Gin 右:(12)Redsmith Aranceto Dry Orange Gin

そして真打ち、アウトロー『 Outlaw 』 と命名された高アルコールのジンです。”Custom の関係上、作ったんだけど市場に出せない” とお話しくださったので、わたしの理解は、” 酒税の関係で市場には出せないもの” なのかなと思いました。
これが、美味しい。少量づつ試飲しましたが、高アルコールのカッとする刺激に加え、ボタニカルのジュニパーベリーが、がっつり香り、クリアな味が広がってとても美味しく感じました。

レッドスミス蒸留所でのお話で興味深かったのは、
 ・水
 ・ジュニパーベリー
 ・寝かせる期間  
の3つです。

まず、水。
ジン製造において、水はとても大事だと店主は話します。宇宙ジンも水にこだわりを持っているので、深く頷きました。
どこの銘柄なのか詳しくは分かりませんでしたが、「スコットランドの水をコストはかかるけど、わざわざ取り寄せている」と話してくれました。
わたしくも、ミネラルウォーターを色々試しましたが、英国内市場で出回っているミネラルウォーターの中では、” ハイランド スプリング(” Highland Spring 硬度 143mg/l pH 7.8)が一番おいしく、好んで飲んでいました。

次に、ジュニパーベリー。
「何か質問は?」と聞かれたので、
「ジュニパーベリーはどのタイミングで何回添加しますか?」
と聞いてみました。
「3回」
「さっ、3回ですか??」
と聞き直してしまいました。
1:蒸留する前のアルコールにジュニパーベリー漬けます 
2:釜にジュニパーベリーを設置し、蒸気で香りづけします
3:蒸留し抽出されたアルコールにジュニパーベリーを添加します
1から3の工程で、砕いたジュニパーベリーと砕いていないジュニパーベリーを添加するのですが、どの工程が砕いてあったのか聞きそびれてしまいました。

最後に寝かせる期間。
期間は蒸留所ごとで違うようです。レッドスミス蒸留所は4週間。製造サイクル、気候、場所など条件があるようには思いますが、ホワイトピーク、ロックスリーに比べると長めだなといった印象です。

蒸留器
蒸留器

この極小蒸留所は、700ml 90本/1回 (63,000ml)の 製造で回しているそうです。販売されている種類も限られている少量生産の蒸留所です。
およそ10年前に開業し、ピーク時に大量生産も模索したそうですが、コロナ禍では、「製造も出荷も何もできなかったし、(コロナ禍の)規制によるダメージが大きかった」とのことで、「造りたい分(造れる分)だけ造って売る方式」
に変えたそうです。「その昔は、ロンドンのイベントとかにも出てたんだけどね」とおっしゃっていました。
客が店を見つけて、試飲し、お話しして、販売する。客とのコミュニケーションを大事にされ、ガツガツせずにマイペースで商売されている印象でした。が、タッチレス決済オンリーです。

3.おわりに

今回訪れた3か所のジン蒸留所は、それぞれ歴史ある建物を見事にリノベーションし、商品には確かなクラフトマンシップが宿っていました。共通して感じたのは、「伝統を大切にしながらも変化を恐れず、自らの個性を追求している」
という姿勢です。わたくしが、英国を学びの場として選んだ理由のひとつも、まさにこの“ 伝統と革新の共存” に惹かれたからでした。今回の訪問でもその精神が息づいていることを実感しました。大きな変化があっても、英国の根底にあるマインドは揺るがないのだと改めて感じました。

ちなみにひとつ、印象的だった“ こぼれ話” を。
訪英少し前、英国各地で移民政策への不満から暴動が発生し、想定外の逮捕者の数に刑務所がキャパシティオーバーに。一部の収容者が“ まぁまぁ良いホテル” に収容される事態に。例のごとくベッドサイドにはミルクティー(先入れミルクに丸いティーバッグをドボンとつけた)と焼き菓子が。
これが報じられると国民は大激怒し、今度はそれに対するデモが起きるという、この堂々巡りの構図は、なんとも英国らしい展開で、連日BBC ニュースで報道されていました。
嗚呼、英国──変わらないユーモアと複雑さも含め、やはり興味深い国です。

商品のお写真は各蒸留所のWEBサイトより、イラスト・写真は自前です

https://www.locksleydistilling.com/
https://redsmithdistillery.com/

Author 経営本部 企画・広報室ユニケミーの広報の人
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油分赤外分光光度計赤外分光ガスクロEPMAGS/MS尿素JIS K 2247一般廃棄物処理環整95号ごみ質分析危険物判定技報圧縮空気表面観察SEM硬さ古紙パルプ偽装はがき環境リサイクル新聞古紙JIS P 8120染色配合率におい成分コーヒー香り香料加熱脱着法気中の微量成分国際宇宙ステーションISS宇宙飛行士飲料水水パックヨウ素種子島宇宙センター宇宙ステーション補給機こうのとりHTVH2Bグリーン購入法信頼性確保PET特定調達物品森林認証材間伐材軟水硬水おいしい水硬度キレート滴定EDTA金属イオン誘導結合プラズマICP健康マイクロスコープ形態観察ハイダイナミックレンジHDR深度合成金属組織組織エッチング金属組織観察研磨琢磨ダイヤモンドフェノールエポキシアクリル低周波音騒音1Hz-100Hz物的影響周波数補正特性G特性SLOW特性動特性かおりガスクロマトグラフ悪臭物質大気リフラクトリーセラミックファイバーRCF作業環境測定労働安全衛生法総繊維数分散染色法位相差顕微鏡炭素硫黄CS計赤外線吸光法燃焼鉄鋼高周波炉管状炉非鉄金属セラミックFT-IR材質判定ゴム樹脂異物の判定構造解析非破壊微小物の分析マッピングイメージング元素分析元素組成窒素定量フリッツ プレーグルCHN計水素窒素組成式コークス類材料分析試料汚染定性分析試料採取微小試料XRDWDX特性X線波長分散分光法エネルギー分散分光法EDXFE電子銃エネルギー分解能熱分析TG-DTADSC酸化融解結晶化ガラス転移吸熱発熱前処理ボイド塗装プラスチック車両塗装顕微鏡SEM-EDX土壌汚染対策法改正土壌土壌汚染土壌汚染状況調査健康被害形質変更時届出区域土壌環境清浄度JIS B 8392清浄等級同体粒子パーティクルカウンター圧力露点オイルミストオイル蒸気微生物汚染物質イオンミリング前処理装置高倍率観察微小分析断面作製結晶コントラスト面分析油分分析ノルマルヘキサン油含有土壌TPH試験脱脂効果GC-FID四塩化炭素トリクロロトリフルオロエタンAESXPSSIMSTOF-SIMS電子線X線イオン定量分析硬さ試験ビッカースロックウェル鉛筆法モース静的硬さ圧痕動的硬さ引っかき硬さ有機分析炭化水素計法全有機体炭素計元素分析計法フーリエ変換赤外分光分析HPLCLC/MS塗料品密着性耐摩擦性JIS K 5600JIS S 6006揮発性有機化合物VOC希釈質量分析法JIS K 0125メスフラスコクロロエチレン揮散第4類引火性液体危険物確認試験特殊引火物第一から第四石油類引火点アルコール類危険物データベース登録安全データシートSDS表面分析水道器機浸出試験日本水道協会規格JWWA Z 108JIS S 3200-7亜鉛カドニウム六価クロムフェノール類環境大気吟醸香かおり風景100選HS-GC/MS悪臭防止法熱分解GC/MS排ガス空気分析TD-GC/MS有機化合物付着油分脱脂洗浄表面不良試料分解法溶解加圧酸分解マイクロ波酸分解常圧酸分解るつぼJIS B 8392-1固体粒子測定ダイオキシン環境教育作業環境教育技術指導教育コンサルティングSTA 2500 Regulus受託分析ペーパーレスミクロの傑視展速報分析結果SEM写真電子染色ブタジエンABS樹脂樹脂めっき品オスミウム染色ラボタオル吸水度炭素材料鉛筆溶接ヒュームアーク溶接引火点タグ密閉法迅速平衡密閉法ペンスキーマルテンス密閉法クリーブランド開放法JIS K 2265ビフィズス菌ヒトミルクオリゴ糖高分子材料火災の原因調査火災トラッキング火災家庭の理化学分析破面観察デジタルマイクロスコープ報告書例環境分析排水分析JIS K 0102環告64号水質汚濁防止法工場排水健康項目生活環境項目臭気厚労省告示第261 号上水試験方法官能法三点比較法カルキ臭アドブルー尿素水AUS 32品質要件ディーゼル車SCRCO2NOx 窒素酸化物還元剤アンモニア排気ガス浄化軽油尿素濃度アルカリ度不溶解分水道水水道用資機材水道用器具給水装置日本水道協会浸出性能試験JIS S 3200臭気強度TON塩素臭精度管理標準化尿素分析臭気分析JIS K 2247-1 2021環境水河川水地下水公共用水域環告59号環告10号水道法上水道簡易水道水質基準水質検査機関建築物飲料水水質検査業金属腐食局部腐食異種金属接触腐食ガルバニック腐食粒界腐食遊離珪酸含有率測定孔食酸素濃淡電池腐食腐食調査化学物質管理ばく露リスクアセスメント労働安全衛生規則ばく露管理値個人ばく露測定法改正断面試料作製蛍光顕微鏡内部欠陥内部組成可視化技術落射観察蛍光観察製品不具合カルボR耐久テスト純水JIS K 0557:1998ISO 3696-1987蓄電池用精製水規格周期表ドミトリ メンデレーエフ化学の基礎アスベスト石綿アスベスト調査大気汚染防止法石綿障害予防規則GC-MSPT法HS法パージ・トラップ法ヘッドスペース法サーマルデソープション法紅茶の香り成分原子量シャルルドクーロンアイザックニュートン電子殻防災地震災害対策BCP福利厚生電子軌道FFT 周波数床振動測定保全予防予知保全高速フーリエ変換FFTクラフトジン宇宙GINASTRONAUTS WATER画像解析法粒子解析コンタミ解析法視野法パーティクルファインダー法香気成分波の干渉位相振動F=maノイズキャンセル周波数解析波形トライボロジー摩擦摩耗試験カーボンニュートラル省エネルギー技術エネルギー効率製品寿命評価レオナルドダヴィンチ英国蒸留所視察

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