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BCPの実効性を高める福利厚生のあり方について
前職は消防行政に携わる仕事をしており、防災、特に地震災害から身を守るための啓発を行っていましたが、一般市民に対しては、地震が起きても、「生き残ること」と「生き延びること」をテーマに対策の必要性を訴えてきました。阪神淡路大震災では、家屋の損壊や家具の下敷きによる圧死で亡くなった方がほとんどであったという教訓から、昭和57年建築基準法改正より前に建てられた建築物に対する耐震補強事業の活用や、寝室に備えられた家具固定の設置など「生き残る」ために必要なこと、そして「生き延びる」ために必要な対策として災害時に開設される避難所の場所や経路の確認を事前に行うことやライフラインが寸断されることを想定して飲料水や食料品を備蓄しておく必要性なども併せて訴えてきました。
しかしながら、防災啓発の枕詞として使う南海トラフ地震の発生確率が30年以内に70から80%という国の想定は、イメージが掴みにくい上、多くの地震学者はその根拠を疑問視するなど、危機意識が保ちにくく、防災用品を家計から捻出するモチベーションには繋がりにくいのではないかというのが現場感覚でありました。
一方で阪神淡路大震災や新年早々に発生した能登半島地震のような直下型地震こそいつ起きるかわからないという点で我々は危機意識を継続的に持ち続け、日頃の備えを万全にしていく必要があると思います。
行政の立場からは、上述した市民への直接的な啓発活動や地域防災の観点から、企業に対して発災時に地域住民に対する一時避難所としてのスペースや飲料水や食料品の提供といった災害支援協定を地域団体と締結するなど地域への貢献を要請する活動も行ってきました。
企業自身も耐震対策などのハード面や従業員の参集計画などのソフト面での対策など事業継続計画により策定していることと思いますが、前提として、発災してもすぐに出社できるよう従業員とその家族の安全が担保されていることが計画を実効性のあるものにする大切な要素です。
従業員が企業にとって大切な財産であるならば、行政が市民に対して行う要望的なものではなく、従業員が必ず被災しないようにバックアップしていくといった強い姿勢を持つ必要があるのではないでしょうか。
具体的な例としては、
・家具固定に係る費用や住宅用火災警報器の交換費用を補助する。
・厚生事業の一環として、備蓄食料や飲料水を定期的に配布する。
・従業員の世帯ごとに発災時の行動シミュレーションを行わせ、企業としてバックアップできるところを確認し必要な援助をする。
こういった取組みを企業として行うことによって、大切な従業員全体の日頃の災害対策の平準化が図られ、従業員とその家族の安全を担保し、従業員自身の危機管理意識の醸成、更には従業員の所属する企業への帰属意識の高揚へ繋がっていき、結果としてその企業への事業継続を実現していくことになると期待するものです。
最後になりましたが、能登半島地震により被災された皆様に対しお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧・復興を願っております。そしてせめて皆様の悲しみと労苦を教訓として今後の防災啓発活動に活かしていく所存です。
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